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図形の重要性

図形が苦手という悩みを持っている人は大勢います。今回は図形が得意な人と苦手な人の違いを通して、どうすれば図形が解きやすくなるかを考えていきます。

図形問題を解くにはセンスが必要か?

 皆さんも一度は耳にしたことがある「図形はセンス、ひらめき」という言葉。もし図形問題が純粋なセンスで解くものならば、先天的な才能によってのみ解けると言うことになりますが、これは明らかにおかしいですよね。つまり、誰でも練習によって改善することが出来るはずです。しかし、図形を苦手と感じている子どもの方が多いのが現実で、このことは図形の練習をする機会がかなり少ないことを表しています。これは図形問題を解く機会が少ないというだけでなく、折り紙やパズル、粘土、模写などの遊びを通して色々な形に触れる機会が減少しているとも言えます。遊びに関しては、自分で創作するとより良い頭の運動になると思います。
 また、高校入試の関数の最後は面積を求めたり、比を求めさせたりと図形問題が多く、大学入試においても面積や比を問われることは多いです。入試問題において図形的な要素が含まれる問題は50%前後あるので、図形が得意というだけで数学の試験は有利といえます。
 では図形が得意な人と苦手な人の違いをみながら、何が出来るようになれば図形問題が解けるようになるのか考えていきましょう。

得意な人と苦手な人の違い その1(綺麗な図)

 私が図形の得意な人のノートを見たときに一番初めに感じるのは、描いている図がかなり綺麗だということです。綺麗というのは、辺の長さや角度が実際の図形の縮小版になっていて見やすい大きさの図であることです。この図を綺麗に描けるがどうかは非常に重要で、図が綺麗なほどイメージが膨らみやすくなり図形の特徴を見つけやすくなります。逆に、苦手な人の描く図は小さすぎたり、形がいびつであったりして綺麗とは言えない場合がほとんどです。
 例えば、2辺の長さが5cmと8cmで、その間の角が30°の三角形の場合
得意な人 8cmは5cmの2倍より少し短く、30°は時計の3時と2時のなす角のように考えて図を描きます
苦手な人 5cmも8cmもどちらも同じくらいの長さ、30°は60°くらいになり、正三角形のような図を描いてしまう
このように長さや角度に対する認識から違いが現れます。特に角度については、両者には顕著な違いが見て取れます。
誕生日のホールケーキをカットするときは均等な大きさになるように角度を考えて切るのに算数や数学では何も考えずに描く人が多いのです。
 図が綺麗に描けるかどうかは図形問題の入り口として非常に大きな分かれ道です。隣り合う辺の長さはどの程度違うのか、角度は時計を意識することで綺麗な図へと変えられるので図形の設定を忠実に再現しようとする気持ち次第です。特に立体図形では、綺麗な図を見ながら想像力も含めて考えるのと、図が無い状態で頭の中の想像力だけで考えるのは大きな違いがあるのは明白でしょう。また自分で図を描かなければならない高校生は、模範解答のような綺麗な図があれば考えやすいのにと思ったことは一度や二度ではないはずです。
 ただ高校入試までは自分で図を描く機会が少ないので、ノートに図を写すところからスタートするのが良いです。図を描きながら特徴をつかみ徐々に頭を回転させていくイメージです。

得意な人と苦手な人の違い その2(言葉としての認識)

 2つめに大きく違うと感じるのは、図形だから図が分かれば良いという人と、図形であっても言葉の意味をきちんと覚える人の違いです。
 例えば、中学1年生で学習する作図問題に垂直二等分線の作図がありますが、問題文の表現方法は何通りかあります。
①「線分ABの垂直二等分線を作図せよ。」
②「3点A、B、Cから等しい距離にある点Pを作図して求めよ。」
③「三角形ABCの3つの頂点を通る円を作図せよ。」
この3つが代表的な表現ですが、②、③の表現をされると手が止まってしまう人が多いです。これらの表現は高校生になっても頻繁に登場するので、「垂直二等分線=2点A、Bから距離が等しい点の集合」のように言葉をきちんと覚えなければ、②、③の表現で垂直二等分線を作図しようとは考えないでしょう。
 このように言葉と図形が連動していなければ解けない問題は多くあります。得意な人がまるでひらめきによって解いているように見えますが、図形を言葉として認識している土台があるからこそ問題文の意味が正確に読めるのです。算数、数学とはいえ、言葉での理解が必要不可欠であり、それが無ければ考えることも計算することも出来ません。

得意な人と苦手な人の違い その3(補助線)

 図形がセンス、ひらめきと言われる大きな理由の一つに、適切な補助線が引けるかどうかがあります。特に円や球に関わる問題では補助線が描けるかどうかで正解までたどり着けるかどうかが決まります。そうなると確かに補助線は必須と言えるでしょう。
 確かに小学生、中学生にとって補助線はひらめきかもしれません。しかし、高校生になるとひらめきが必要な補助線はごくわずかと言ってよいでしょう。この違いは単純に経験です。ここで言う経験とは模範解答を見て真似た回数、つまり模範解答を模倣して図を描いた回数といっても良いでしょう。経験が少ない頃に他人が補助線を引くところを見ると、なぜその補助線をひらめいたの?と不思議に思うはずです。しかし、似た問題を何度も経験していくうちに、こういうときはこういう補助線を引けば答えまでたどり着けるんだということを覚えていきます。高校生くらいになると、模範解答に使われている補助線が今までの自身の経験の中のどこかにあるはずです。補助線は、蓄積した経験によって改善することが可能と言えます。
ポイントは、何度も図を描いて補助線を何度も引くことです。模範解答を読むだけで分かったつもりになっている間は、いつまでたっても補助線が引けるようにはなりません。

得意な人と苦手な人の違い その4(知識の整理)

 最後に、教科書で学習した内容が整理して頭にインプット出来ているかどうかです。模範解答というのは、答えに最短で到達できるように今まで学習した内容の一部を使って解答を作っています。しかし、実際に問題を解いている本人がその最短の方法をすぐに見つけられているかどうかはわかりません。試行錯誤の結果、模範解答に近い方針に気づくのではないでしょうか。ただ、他人が簡単そうに作る解答を見ていると、なぜその解答に気づいたのか不思議に感じることも多いはずです。つまり、図形問題を解いている本人が何を考えているかが他者にはとても分かりづらいのです。
 では解いている人が実際に何を考えているのかがわかれば、図形問題の苦手意識を払拭する、または得意な人に追いつくきっかけになります。私個人は教える立場にあるので、図形をひらめきで解くことは行ってはいけないと考えており、なぜそのような解答になるのかの根っこの部分を明示する必要があります。その結果辿り着いたことは、図形が得意な人は今まで学習した知識の中から、目の前にある問題に使える知識を取捨選択しているということです。つまり、学習した多くの知識が頭の中に整理されて収納されており、問題文のキーワードに対して適切な知識を選んだり、収納されている知識を一通り試して答えに近づいているのです。そんなこと当たり前と思われるかもしれませんが、いつか模範解答のような考えがひらめくと思っている人が意外と多いです。
ポイントは「整理されて収納されている」かどうかです。
 例えば
「直角」「垂線」などの90°に関係するキーワードに対して
①面積、体積の高さ
②三平方の定理
③円周角90°⇒補助円
④三角比のsinθ、cosθ、tanθ
などの頻出事項がすぐ思い浮かぶかどうか。更に①と②は長さに関係、③の円と④は長さと角度の両方に関係のように、長さと角度どちらに関係するのかまで考えること出来ます。このように知識を整理して収納出来ている状態で問題を解いて、解けないときは新たに追加する内容、知識があったり、改めて整理し直す機会になります。

まとめ

 ここまで図形の得意な人と苦手な人の違いを考えてみました。純粋な図形問題に焦点をあてて話を進めましたが、関数を含めどんな問題に取り組むときも図形的思考は必要不可欠と言えます。この図形的思考と計算などの数式的思考のバランスが取れていることは非常に重要で、このバランスが良いほど短時間で理解できる問題が多くなります。勉強効率自体が良くなるので、図形が得意な人は継続できるように、苦手な人も克服できるように頑張れると数学が上向くことが多いです。

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